キミが泣くまで、そばにいる
普段彼が撒き散らしている明るい空気が、すべて打ち消されてしまうような重いオーラを、あのとき確かにアカツキは放ったのだ。
絶対、なにか後暗いものを抱えてる。
そうじゃなきゃ、あんな恐い目はできない。
レミも、中学の時の友達も、私が関わってきた中であんな顔をする人なんて見たことがなかった。
凄みのある目、とでもいうのかな。
微笑み王子なんて言われるほどの笑みを浮かべて、アカツキはそれを隠してる。
そう思うとなんだかしっくりいった。
はじめて見た瞬間から、彼はどこか作り物っぽい雰囲気を持ってると思っていた。
あの人形みたいな髪色のせいだと思っていたけれど……。
きっと、何かある。
それを突き止めて、弱みを握って、私は自由になるのだ。
人ごみに紛れる背中を追いかけながら、私は見え隠れするアッシュブラウンの髪の毛に、視線を定めた。