キミが泣くまで、そばにいる
3 で、どうしてほしい?
生暖かい風が、頭上の葉を大きく揺らす。
今日は風が強い。
人が行き交う駅前広場。少し離れたバス停の陰から、私はそっと前方をうかがった。
微笑み王子が立っているのは、緑がさざめく街路樹の下だ。待ち合わせなのか、スマホを片手に動く気配がない。
街に溶け込むアカツキを見て、なんだあれ、と思った。
目立つ。
目立ちすぎる。
髪の色もそうだけど、アカツキは道行く人々と、顔も体も、作りが異なりすぎている。
比べているこっちが申し訳ないくらい、すれ違うサラリーマンよりずっと手足が長いし、可愛い顔はびっくりするほど小さい。
すっかり見慣れてしまってたけど、アカツキは選ばれた人間しか持ち得ない、きらびやかなオーラをまとっているのだ。
そりゃ通行人も振り向きますわ。
アカツキに目を奪われて石につまずいたお姉さんに、うんうんと頷きかけてしまう。
セイが率いる我が校のイケメントップ5。いつも5人まとめて会うから気づかないけど、アカツキ以外の4人もそれぞれ尋常じゃないオーラを放っているに違いない。