キミが泣くまで、そばにいる


 本当に、絵になるなぁ。

 同じように画面に切り取られていた自分の日常風景を思い出す。
 レミのスマホに保存されていた私の醜態の数々……。

 あまりの違いにため息しか出ない。アカツキも彼女さんも、きれいすぎて、私と同じ人間だとは思えない。

 ふと、現実の彼女がアカツキから離れた。美しい顔に笑みを浮かべ、手を振って駅のほうに戻っていく。

「あれ……?」

 これからふたりで出かけるのだとばかり思ってたのに、彼女はそのまま改札の向こうに消えてしまった。

 デートじゃなかったのか。

 彼らを気にしつつ撮ったばかりの写真を確認する。

 彼女と抱き合っているアカツキ。
 これは学校では絶対に見られないシーンだ。

 でも、弱みになんてなるかな?

 別に悪いことをしているわけじゃないし、本人に突きつけても「付き合ってるから」と言われてしまったらそれまでだ。

 なんだよアカツキってば、実は校外に彼女がいたのかよ、という話で終わってしまう。

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