キミが泣くまで、そばにいる




 3組の教室に戻ると窓際の席にアカツキの姿があった。

 ドアをくぐった瞬間に目に入るなんて、ものすごい存在感だ。
 と思ったら、となりにセイの姿もあった。金髪とアッシュブラウンが揃っていたら、いやでも目に付く。

「お、知紗」

 向こうでも私を見つけ、アカツキが手招きする。

 いつものクセで、私はご主人の元に馳せ参じた。群がっている取り巻きの子たちも心得たもので、通り道をさっと開けてくれる。

「あのさ知紗、今日の昼なんだけど、学食でカツカレー、テイクアウトしてきてよ。いつものベンチにいるから」

 にこにこ笑いながら言いつけるアカツキに、私はいつものように「はいぃ」と返す。それからハッとした。

 違う違う。何こき使われてるんだろう私! こちらには切り札があるというのに!

「ふっふー、アカツキくん。偉そうなことを言っていられるのも今のうちだよ」

 曲げていた背中を反らしてびしりと指を突き立てると、アカツキがきょとんとした。

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