鬼神様と××しました
しびれる体を支えながら、お母さんを見る。



「私は妖怪さ」





「初めから…お前のお母さんはいないよ。お前が生まれた日…私があの女を、乗っ取ったのさ」






乗っ取った!?




「今、この世は…妖怪も人間界で生きていかなきゃならない。でも私みたいな、弱い妖怪は…妖力で人間に化けられない。だから、人間を乗っ取って生きていくしかないのさ」




この台詞…

どこかで聞いたことがある…


そう。

源喜さんからだ。




「だから私は…18年前、まだ若かったお前の母親を乗っ取った。そして、お前の母親として生きていたのさ」

「!」


目から、涙が溢れる。



「妖怪が人間を乗っ取れるのは、18歳以上の人間だけ。私はこの日を、ずっと待っていた……」




その妖怪は、私に顔を近づける。




「今日がその日だよ、雪希!お前を、私が乗っ取れる日っっ!」


妖怪は、嬉しそうに大笑いする。

それはもうお母さんでも…人間でもない。

紛れもなく、妖怪だった。



「もう年老いてきたこの体も…今日でおさらば!もっと若い肉体が欲しい!それに、お前は美人だ。人間として、女として…きっといい思いができるだろう」


ヒヒヒと笑う妖怪。


私はもう、泣くしかなかった…

何か言おうにも、薬のせいなのか、力が入らない。
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