鬼神様と××しました
「そんなことにも気づかねえなんて…ショボイ妖怪だな」

「う、うるさい!鬼め!お前らに、私たちの気持ちなんか…!」

「俺は雪希と初めて会った日から、お前の正体をわかってた。お前が雪希を乗っ取ろうとしていることも、お見通し。でも俺には…待つ必要があった。雪希が18歳になる日に…お前が、こうして行動を起こすことを…」




源喜さんは、妖怪を見下ろして言った。

その姿は、ものすごくかっこよくて…後ろからでも、見とれてしまう。



「くっ…」

「俺のプレゼントに気づいて、お前が雪希から身を引くなら、見逃そうと思ってた。でもこの状況を見ると…身を引く気は、ねえみたいだな」

「あ、あるもんかっ!雪希は私のもの!私が雪希を育てたんだ!!私は、雪希の母親だっっ」


妖怪は、思いっきり叫んで言った。




「お前は、雪希の母親なんかじゃねえ!」


っ!


源喜さんが、左腕を持ち上げる。




「雪希」




そして、そのまま私の名前を呼んだ。




「ここからは、目を閉じてろ。お前が見るのは、いくら何でも辛いから…」

「・・・・」


源喜さんの口調は、少し弱々しくて…優しかった。


私は源喜さんの言われたとおり、目を思いっきり閉じた。





グサッッッッ!


「ギャーーーーー!」




………っ!


暗闇の中で、妖怪の悲鳴が聞こえた。

私の閉じた目から、涙がこぼれた…



静まり返った部屋…

私はそっと、目を開けた…



「………!」
< 112 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop