鬼神様と××しました
壁にもたれかかっている私を、源喜さんが持ち上げる。

そしてそのまま、窓から外に出て、空を飛んだ。




いつもより、ゆっくりと空を飛ぶ源喜さん…

私はまるで人形のように、源喜さんに抱えられていた。



珠紀や源喜さんのお父さんは、

私のお母さんが、人間でないことに気づき、それを伝えようとしてくれた。


でも源喜さんは、それはあえて阻止して…私を守ってくれたんだ…

それに気がついた私は…また、泣きそうになった…



今日から…私は1人ぼっち。

肉親が、1人もいないんだ…


これからどうしたらいいの?

全然わかんないよ…



ぐすんと鼻をすすった時…

ふと、あのヒマワリの香りがのした…



あれ?



「…どうかした?」




私の様子を、源喜さんが気づく。



「あの、源喜さんがくれたヒマワリの香りが…今したような…」

「ああ。あれはヒマワリの匂いじゃねえよ」

「え?」


違うの?



「あれは俺ら鬼一族の香り。まあ、簡単にいえば香水みたいなもんだな」

「そうなんですか?」


私はてっきり、ヒマワリだと…



「妖怪は鼻も効く生き物だからな。それぞれ、妖怪には香りがあるんだよ。この香りがしたら、鬼が来たってことだ」

「なるほど」

「それに気がついたのは、すげえじゃん。お前、妖怪の素質あるよ」
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