鬼神様と××しました
「ただいま。いやあ、たまたま廊下を通ったら、2人の話し声がしたから…」

「お父さん!明日は神社のお祭りでしょ?わたし、雪希お姉ちゃんと行く約束したの!でね…雪希お姉ちゃんに、お母さんの浴衣貸してもいいでしょ?」


お父さんの、腕を握る彩芽ちゃん。




「もちろんいいよ」

「本当ですか?なんだか悪くて…(汗)すごく素敵な浴衣だし…」


私も、お父さんに近づく。




「いやいや…逆に雪希さんに着てもらえたら…私も嬉しいよ。もうずっと、女房の着物や浴衣はタンスにしまったままだしね」


お父さんは、少し悲しそうだった。



「彩芽が大人になったら…と、思っていたけど……何しろ、私達妖怪は、年取るスピードが遅いからね(笑)いつになることやら…」


ハハハと、笑うお父さん。

私もクスッと笑った。




「今、雪希さんが持っている浴衣は…女房と結婚してすぐに、新著した浴衣なんだよ」

「へぇ」

「その生地を、京都の有名なお店まで行って買い付けて…女房にプレゼントした。あいつは、嬉しそうに笑ってくれたよ」


お父さんは、懐かしむように言う。

その顔は少し嬉そうで、少し悲しそうにも見えた。




「…奥さんて・・どんな人だったんですか?」


前に、彩芽ちゃんにも、同じ質問をしたことがある。

お父さんは、なんて言うかな…






「…君みたいな人だよ」



っ!
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