鬼神様と××しました
「うわぁ…」


目に飛び込んできた景色は、一面の海。

その場所は、夜の静まり返った海岸で、水面に月が映って、すごく綺麗だった…




「いいだろ、ここ。ちょっとした穴場だよな」

「はい!海を見下ろせるなんて…すごい素敵です」


私たちはそんな会話をしながら、座れそうな場所を見つけ、腰をおろす。




っ!


腰をおろすと、源喜さんは私の隣に、体をぴたりと近づけて座った。



そんなに狭い所でもないのに、すごい近い距離…///

いいけどさ…//




ザザーン…

ザーーン……


波音が聞こえて、すごく心地良い気分。

まるでこの世界に、私と源喜さんしかいないみたい…

それくらい静かで、綺麗な場所だった。




「…とりあえず、落ち着いたみたいだな。一時はどうなるかと思ったけど…」

「え?あ…ああ、はい。そうですね…」


源喜さんが言ってるのは、私のお母さんの事件のことだ。




「思ったより、お前の立ち直りが早いから…マジで安心したよ」


源喜さんは優しく笑いながら、タバコを取り出した。




「今考えると…あの人と住んでて、なんか謎のことが多かったかも…?とか思うんです(汗)」

「…例えば?」

「母親なのに、どことなくさっぱりしてたし…あんまり子供に関心のない、仕事人間だと思ってました。それに…私の名前…」

「名前?」

「私の名前、雪希でしょ?でも…誕生日は夏生まれなんですよね(汗)」

「……!」


タバコに火をつけながら、源喜さんが一瞬だけ眉をしかめる。




「夏生まれなのに、名前に“雪”が入ってるなんて…おかしいですよね(汗)この名前…あの妖怪が付けたのかな」
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