駅前ベーカリー
* * *
「手伝いましょうか?」
「あ…すみませ…って岡田さん?」
こんな時間までいるとは思わなかった。子どもたちを返してすぐに理真は校庭に向かった。後片付けは山ほどある。大人数でサッカーゴールを運ぼうとしたその時、理真の横にすっと入ったのは岡田だった。突然過ぎる登場に理真の方といえば目を丸くするしかない。
「坂下先生のお知り合いですか?」
「あっ、えっと、よく行くパン屋さんの岡田さんです。」
「どんな知り合いだよそれ。」
「ほんとは彼氏なんじゃないの~?」
「ちっ、違いますよ!」
そんなことを昨日考えてしまった自分を思い出して、理真の頬は真っ赤に染まった。岡田はというと営業用の笑顔を浮かべている。
「うちの店の常連さんなんです。今日ここに来たのは僕の姪っ子が運動会デビューだったからですよ。」
「へぇー…坂下先生、パンが好きなんですか。こだわり派?」
「お、美味しいんです、岡田さんのところのパンは。…温かい、味がするんです。」
今なら少し、分かる気がする。その温かい味の理由が。あの場所に惹かれた理由が。
「さてっ、さくさく片付けちゃいましょう!」
「「「「「おー!」」」」」
理真の隣で岡田がいつものように温かい笑みを零す。思わずそらしたのは理真の方だった。
(そ、そらす理由がないのに!なんか…申し訳ない!)
「手伝いましょうか?」
「あ…すみませ…って岡田さん?」
こんな時間までいるとは思わなかった。子どもたちを返してすぐに理真は校庭に向かった。後片付けは山ほどある。大人数でサッカーゴールを運ぼうとしたその時、理真の横にすっと入ったのは岡田だった。突然過ぎる登場に理真の方といえば目を丸くするしかない。
「坂下先生のお知り合いですか?」
「あっ、えっと、よく行くパン屋さんの岡田さんです。」
「どんな知り合いだよそれ。」
「ほんとは彼氏なんじゃないの~?」
「ちっ、違いますよ!」
そんなことを昨日考えてしまった自分を思い出して、理真の頬は真っ赤に染まった。岡田はというと営業用の笑顔を浮かべている。
「うちの店の常連さんなんです。今日ここに来たのは僕の姪っ子が運動会デビューだったからですよ。」
「へぇー…坂下先生、パンが好きなんですか。こだわり派?」
「お、美味しいんです、岡田さんのところのパンは。…温かい、味がするんです。」
今なら少し、分かる気がする。その温かい味の理由が。あの場所に惹かれた理由が。
「さてっ、さくさく片付けちゃいましょう!」
「「「「「おー!」」」」」
理真の隣で岡田がいつものように温かい笑みを零す。思わずそらしたのは理真の方だった。
(そ、そらす理由がないのに!なんか…申し訳ない!)