性別「少年」属性「乙女」
「……ほんとに、いいんですか?」
「受け取ってくれる?」
恐る恐る尋ねたボクに、陸さんが、パッと顔を輝かせて聞き返す。
ああ。
ボクが受け取ることで、陸さんがこんなに喜んでくれるなら。
もらっちゃっても、いいのかな。
「ありがとう、ございます」
「俺のほうこそ、ありがとう。よかった。マコト君、なんだかいつのまにか消えちゃいそうな気がしてさ。ちゃんと、つながっていられる物、あげたかったんだ」
陸さん、ほんとにうれしそうだ。
「ボク、これ、陸さんに連絡するときだけ、使いますね。他には誰にも、メルアドも電話番号も教えません」
「え?いいんだよ?普通に使ってくれて」
「ボクも、これで、陸さんとだけつながっていたいから」
陸さんとボクをつないでくれる、特別の携帯電話。
ずっと、大事にしよう。
「マコト君」
陸さんの、声。
顔を上げたとたん、陸さんに、抱きしめられた。
蝉の、声。