性別「少年」属性「乙女」

迷路の中


とても、家までは歩けなくて、でも、この場所からは離れたくて。

近くの公園まで、陸さんに抱きかかえられるように、歩いた。

ベンチに座って、陸さんに寄りかかった。

陸さんがいなかったら、倒れていたかもしれない。


「マコト……」


心配そうに、陸さんがボクを見下ろしている。


「陸さん……あのひと。陸さんのお父さんって」

「……」

「ボクの、お父さん、だったみたい」

「マコト……」


陸さんの、悲しそうな、目。

そう、なんだ。

陸さん、知ってたんだね。

知ってて、ボクと、キスして。

ボクのこと、好きだって。


「ボク、そしたら、陸さんの弟、なんだよね」
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