性別「少年」属性「乙女」
ボクが生きていることで、幸せになれない人がいる。

それが、こんなに、つらい。

この人だけは、きっと、ボクが死んだ方が、幸せになれたんだよね。


「誠、まさかおまえ」


お父さんの手が、ボクの肩にかかる。

ぎゅっ、と強く掴まれて、僕は小さく呻いた。


このまま、殺されちゃうのかな。


「まさか、わざとトラックに飛び込んだのか?俺が、おまえに死んでいればよかったって、言ったから」


え?

ボクはそっと、陸さんのお父さんに、目を向ける。

ボクの肩から手を離して、お父さんは、倒れこむように椅子に座った。

そのまま、両手で頭を抱えて、俯いてしまう。
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