性別「少年」属性「乙女」
「ほら、マコト。もういいかげん休まなくちゃ、だめだよ。夜が明けちゃうぞ」


陸さんが、ボクの目じりの涙を、ふかふかのタオルで拭いてくれる。
ボクは、しゃくりあげながら、頷いた。


「泣き虫で、ごめんなさい」
「いいよ。マコトが、俺の前で、我慢しないで泣いてくれるの、嬉しいから」


陸さん。
ホントに陸さんて、優しくて、強いんだ。
ボクだったら、ボクみたいな泣き虫が隣にいたら、きっとおろおろしちゃうよ。


泣いたら、なんだかとても眠くなって。
ボクは陸さんの言う通り、目を閉じた。


あ。
寝る前に、ちゃんと、言わなくちゃ。


「陸さん」
「ん?」
「ボクね、陸さんと会えて、よかった。ボクを見つけてくれて、ありがとう」


あと、おじさんにも、お礼を言わなくちゃ。
そう思いながら、言葉になる前に、ボクは、眠ってしまっていた。
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