性別「少年」属性「乙女」

「一応、今回の事故を刑事事件として立案するべきか、事件の様子を調べているんですよ」


手帳を開きながら、刑事さんは、言った。

刑事、事件？


「トラックの場合、乗用車以上に交通事故の場合は厳しくしているんです。なにしろ、ぶつかれば死亡率も高い。ましてや、もう少しで幼児を轢くところだったんですからね」

「そんな」


どうしよう。

あの運転手さんは、何にも悪くないのに。

信号もないところで、有希ちゃんが麦わら帽子を追っかけて飛び出しちゃって、ボクがその後を追いかけて飛び出しちゃったから。

あんな急に飛び出して、トラックが止まれるはずなんか、なくて。


「あの、ボクが悪いんです。運転手のおじさんは、何にも悪くないんです。ちゃんとブレーキ掛けてくれたから、ボク、怪我だけで済んだんだし。
それに、おじさん、ボクが歩道橋からケータイカメラとかで撮られてた時、ボクを写せないように、掛け物をかけてかばってくれたんです。死ぬなって、励ましてくれて。
だから、悪いのはボクで」

「落ち着いてください。佐野川さん」