性別「少年」属性「乙女」
刑事さんが、なだめるようにボクの肩をそっと叩く。


「大丈夫ですよ。佐野川さんに訴える気がないなら、いいんです。だけど、自動車を運転している以上、歩道に子供を見つけたら、気をつけることが義務なんですよ。それが不十分だったことは、事実です」

「でもそれは、ほんとに急に飛び出したから」

「わかりました。あなたの意志は、加害者にも伝えましょう。もっとも加害者も反省しているようでした。治療費は、保険で賄えない分は退職金を使うと言っていたし」

「退、職?」


あのおじさん、仕事も、できなくなっちゃうの?

どうしよう。

ボクが、後先考えずに飛び出しちゃったせいで。

何にも関係のない人が、仕事をやめなくちゃいけなくなっちゃうなんて。


「あの、仕事を辞めずにすむ方法、ないんですか?」

「これは、個人の問題ですからね。私たちでは何とも」

「でも、おじさんは何も悪くないのに」
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