性別「少年」属性「乙女」
「交通事故では、車に乗っていたほうが必ず加害者なんですよ。佐野川さん」


刑事さんたちが、ちょっと笑いながら、言う。

ボクは、笑えなかった。


刑事さんは、僕の怪我の程度について、2、3項目質問してから、出ていった。


どうしよう。

なんでボク、今まで気づかなかったんだろう。

自分のことだけで精いっぱいで、運転手のおじさんのこととか、考えてなかった。

ボクの入院費も、あのおじさんが払ってくれてるんだ。

交通事故は、保険が利かないって、聞いたことがある。


ボク、なんにもできない。

どうしたらいいんだろう。



「マコト?」

面会時間になっていたのも、気付かなかった。

陸さんが、入ってきてくれる。


「陸さん」

「どうしたんだ、マコト。そんな悲しそうな顔して。何か嫌なことでもされたのか?」
< 296 / 525 >

この作品をシェア

pagetop