性別「少年」属性「乙女」

嘘じゃないから

「おい、マコト。どういうつもりだよ」


有希ちゃんが帰った後。

吉田が、ちょっと強い口調で、ボクに詰め寄る。

?なんで、吉田怒ってるんだろう。


「吉田、怒ってる?」

「あったりまえだろ。おまえな、有希子は確かにまだガキだけどさ、けど、それなりに真剣なんだぜ」

「わかってるよ。だからボクだって、ちゃんと答えたつもりだよ」


それに、吉田だって、前に有希ちゃんと付き合ってもいいみたいなこと、言ってくれたじゃないか。


「だったらなんで、あんな嘘つくんだよ。好きな人はいないから、結婚してもいいなんて。有希子、本気にしちゃったじゃねーかよ」

「嘘じゃないよ」

「だっておまえ、あいつのこと、好きなんだろ?そりゃ男だけどさ、結婚とかできないだろうけどさ。でも、有希子じゃなくて、あいつが好きなんだろ?」

「吉田。でも陸さんは、ボクの兄なんだよ」


そうだよ。

陸さんは、ボクの、お兄さんなんだ。

どんなに好きだとしても、これ以上、どうすることもできないんだ。


「陸さんは、ボクの兄さんだ。それ以上でも、それ以下でもない」

「おまえな、あいつを忘れるために、有希子を当て馬みたいに使うんじゃねーよ」
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