性別「少年」属性「乙女」
みっちゃんが言って、吉田とふたり、ボクに背を向ける。

嫌われちゃった、のかな。

仕方ないよね。

ボクが、嫌われるようなこと、しちゃったんだし。

……でも、寂しいな。


「気を、つけてね」


ボクが、小さい声で二人の背中に言ったとき、ドアが、向こうから開いた。


「あれ?二人とも来てたんだ?」


陸さん、だ。

陸さんは、手に、箱の入った袋を持ってた。

ボクを見た陸さんが、笑いかけてくれる。

少しホッとして、でも、ボクは自己嫌悪で、うまく笑い返せなかった。

吉田とみっちゃんが、ちょうど陸さんに出口を塞がれたみたいになっている。

陸さんは、ふたりの前に、手に持っていた箱を軽く振って見せた。


「ちょうど、新宿の本屋に用があったからさ、サザンテラスでドーナツ買ってきたんだ。たくさん買ってきたからさ、食べていきなよ」

「え……でも」


みっちゃんも、吉田も、気まずそうにしている。

そう、だよね。

きっと、今は、ボクと一緒になんか、いたくないよね。
< 316 / 525 >

この作品をシェア

pagetop