性別「少年」属性「乙女」
……逃げて、きちゃった。

どうしよう。

だって、みっちゃんも、吉田も、ボクのこと、怒ってる。

ボク、あんなに真剣に、吉田から言われたの、初めてだ。

……最低だ、って。


渡り廊下を歩いていて、涙がにじみそうになった。


そんなつもりじゃ、なかったのに。

ボクは、有希ちゃんの気持ち、戸惑ったけど、嬉しかったし。

少なくとも今は、きっと一生、有希ちゃん以外の女性と結婚することなんて、ないと思ったし。

嘘ついたつもりじゃ、なかったんだ。


缶コーヒーを4つ買って、でも何となく戻れなくて。

ボクは、病院の庭に出た。

病院の中は禁煙だから、喫煙場所も兼ねて、ここの病院には小さな庭がある。

点滴台を押しながら、歩いている若い患者さん。

看護師さんに車いすを押してもらいながら、散歩しているおじいさん。

ボクはベンチに腰かけた。
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