性別「少年」属性「乙女」
せめて。


俺は、ふたりに笑いかけた。


「きっと、マコトも反省していると思うんだ。だから、喧嘩しても、マコトのこと、許してやってくれるかな」


このふたりだけは、マコトの側にいつまでもいてほしい。

マコトのことを、支えてやってほしい。


最初から、俺とマコトが友達だったなら。

せめて弟として出会っていたなら、こんな思いはしなかったのに。

ずっと、マコトの側にいられたのに。


いちばん、傷つけたくないひとなのに。

俺はたぶん、手に入らなければ、マコトに暴力を振るってしまう。


立ち聞きしてしまったとき。

俺は、少女に憎悪を感じた。

幼くて、性別が女だから、あんなに素直にマコトに望むことができる。

マコトにあんな怪我を負わせたくせに。

その図々しい幼さが、ひねりつぶしてしまいたいほど、憎かった。

理性では、あの少女は何も悪くないと、わかっている。

そんな理性で、納得できるはずがない。
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