性別「少年」属性「乙女」
走ることは、負けたことないから。
だから絶対、追い越されたりしない。
どんなに苦しくったって。

体育祭で走れたら、の話だけど。

「……なんで、俺にこんな頼みごとすんだよ」
「え?」
「委員長とかさ、権限のある奴に言えばいいじゃんか。俺に言ったって、俺はただ、リレーのアンカーってだけだぜ」

そう、なんだけど。
多分他の人はみんな、ボクが走っちゃいけないって知ってるから。
ぜったい、走らせてくれないから。
でも。

「林くんなら……ボクを走らせてくれるかも、って、思っちゃったんだ」

ボクと一緒のクラスで走ること、楽しみだって言ってくれた、林くんなら。

「おまえさぁ、他人信用し過ぎなんだよ。誰が見たって、俺、おまえのこといじめてただけじゃんか」
「そんなことないよ」
「そんなこと、あるんだよ」
< 441 / 525 >

この作品をシェア

pagetop