性別「少年」属性「乙女」
「……っ」


咳が、出始めると、止まらなくなる。
半周くらいで、息が苦しくなって、ボクは足を緩めた。


「そこまででいいだろ」


コーナーの中に立っていた林くんが、ボクの腕をつかむ。
咳き込みながら、ボクは、吉田に支えられていた。


悔しいな。
足は、ちゃんと動きそうなのに。
咳さえ、呼吸さえもうちょっと持ってくれたら。


でも。

ボク、走れたんだ。
半周だけだけど。それでも。


「大丈夫か、マコト」
「うん。気持ち、よかったよ」


やっぱり。
走るのは、楽しいや。
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