性別「少年」属性「乙女」

予感

「祐介さん」



母親に声をかけられ、俺は、笑顔を作る。



「はい」



「貴方が先日言ってらしたことね。調べてみたんだけど、今はどこにいるのか、わからないそうよ。しばらくは同じ所に住んでいたみたいだけど。もう、再婚でもしているかもしれないわね」



「そうですか」



それは多分、父親からだけの情報だろう。



こっちが探偵事務所に依頼したほうが、よっぽど調べが進んでいる。



「それなら大丈夫ですね。僕と血が半分繋がった兄弟が、突然財産をもらいに来ることもないわけだ」



「そんなことさせるもんですか。あの人とは離婚したの。もうこの家には、なんの権利もない人よ」


それでもうちの会社にしがみついて、どういうつもりなのかしらね。



そう言って笑う、母親の勝ち誇ったような顔。



気がつかないんだろうか?



自分が結局、自分とあいつしか見ていないことに。



俺を大学に行かせたのも、後継者にするのも、母親が父親を見返してやりたいからだけなことに。



そこに、俺自身への思いは、介在しない。



別に、構わないけどね。



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