愛おしい君へ
僕はそれから、

緊張しながらも

君が座っている席の隣に座り、

しばらく本を読んでいた。


…とは言っても、

君のことばっか考えすぎて

本の内容なんて

これっぽっちだったけど。






しばらくすると、

君が少し身じろいだのに気づいた。

パッと勢いよく起き上がったから

僕は結構びっくりした。


君に……

ほ、本に夢中になって

気づかなかったけど

図書館には僕と君しかいなくて、

それに窓の外は暗くて。

さすがに帰らないと、

と焦っていた僕は

君はどうするのかなと

君をみると、

君は何事もなかったように

本を読み始めていて。

それに思わず笑っちゃった。

お、しまった。

って思って、

口を手で押さえた僕の方を

向いた君は

じっと僕の方を見てきて。

何で笑ったの??

とか聞かれると思ってたのに。


その本、面白いよね、

私も今読んでるの。


…まさか、

本のことだったとは。

あ、うん。そうそう。

と、適当に返事をしながら

見た彼女の目は

すごくキラキラしていて。

その目から目が離せなくなった。







好き。




僕はつい口が滑って

そう口にしてしまった。

あの時は本当に焦った。

いくらなんでも

展開が早すぎるだろう。

だけど、

運良く…


うん!私も好き。

この本いいよね。

主人公がああでこうで…。

ってすごい勢いで語り出した君。

ああ、本のことだと思ってくれた。

ホッ……。

でもですね、

僕、この本適当に取ったんですよ。

だから内容とか全然知らなかったし。

だけど、

君が楽しそうに話してたし、

それに、君と話せてること自体

奇跡だと思って、

僕はあいまいな相槌を打っていた。

で、ときどき

自分の持っている本の裏表紙の

あらすじを

ちろっと盗み見て

あれはこうだよね!!

って話すと、

君は本当に嬉しそうな顔をしていて。



その時から僕は、

この本を真剣に読むことを決め

12巻でてる内の5巻を

ごっそりと借りていった。


そして、

君の連絡先もゲットできた。

二人でよる遅くまで

電話で語り合って。

それで、

知らない内に

僕と君は、一緒に下校してたし、

休日になると

一緒にカフェに行って

世間話をした。

君と過ごすにつれ、

君の気持ちも、

僕に近づいている気がした。

だから思い切って告白したんだ。

その時の緊張はいまでも

忘れられない。






そして、

その告白に応えてくれた

君の


私も好き。



が、忘れられない。




それから僕は、

君を絶対に幸せにする

って決めたんだ。











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