愛おしい君へ
さいご
さようなら、
子供は5才になり、
僕と君は30歳になった。
子供は何不自由なく
保育園生活を楽しんでいたようだ。
そして、君も仕事を探し
また新たに仕事を始めた。
休日はいつも
家族3人でお出かけをした。
その日の食卓でも、
日曜日はどこにいこうか、
と話していた。
ゆうえんちー!!
とはしゃいで言う子供。
じゃあ、ママは遊園地行くために
お弁当作っちゃおうかな!
と微笑んで言う君。
僕は幸せだった。
本当に。
心の底から。
だけど、
だけど、
だけど、
僕は………………。
交通事故で死んでしまった。
君と子供と、遊園地に行く約束を
残して。
ごめんな。
僕は、
お父さんは、
二人を残してしまった。
僕は泣いている二人に
触れる事は
決してできない。
泣き止んで。
僕はここにいるよ。
ほら。
そう言って
君と子供に触れようとしても
僕の透けた手は
二人の体を
通してしまうだけ。
辛い。
君と子供を
思いっきり
抱きしめてやることができないなんて。
それ以上に、
泣いている君と子供を
見ているのが
本当に辛かった。
…僕はずっと二人を見守っているよ。
だから、
二人は、
長生きして、
幸せに暮らして。