幻想
旅は道連れ世は情け

一号車

「はあ」
 と胡桃(くるみ)が溜め息をついたと同時に、浅草発特急りょうもう号発車のアナウンスが車内に響いた。
「今から終着駅の赤城まで軽やかな旅とビジネスライクを快適に運ぶために最善を尽くすわけでありますが、たまに揺れます。揺れないように努力しているつもりです。が、たまに揺れます。
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