幻想
 「学校で先生が赤ペンで描く、はなまる?」
 胡桃は苦笑しながら言い、彼の握手に応じた。温かい手だった。
「なので学生時代は困りました」
 花丸は左手で頭を掻いた。
「困った?」
「そうなんです。なので、学生時代から語り継がれている渾名が、『たいへんよくできました』なんです」
 と花丸は効果的な笑みを覗かせる。さきほどした握手は解かれることはない。世界各国も花丸の握手のように強固な関係を築くことができれば、争いはなくなるのかもしれない。
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