幻想
美味しい。
手の平サイズのあげまんじゅうに、人類がこれまで培い、積み上げてきた〝愛〟が詰まっている。少しばかり血糖値が上がり、頬がきゅっと持ち上がり、幾分か体温も上がる。簡易的栄養源としては申し分ない。
「それにしてもあなた可愛いね」
焼きたてだから、と連呼と強引さを誇示してきた年配の女性店員が彼女に声を掛けて来た。
「よくいわれます」
鈴音は言った。その一言に年配の女性店員は、まあ、と声を漏らしたが、すぐに営業スマイルに戻った。
手の平サイズのあげまんじゅうに、人類がこれまで培い、積み上げてきた〝愛〟が詰まっている。少しばかり血糖値が上がり、頬がきゅっと持ち上がり、幾分か体温も上がる。簡易的栄養源としては申し分ない。
「それにしてもあなた可愛いね」
焼きたてだから、と連呼と強引さを誇示してきた年配の女性店員が彼女に声を掛けて来た。
「よくいわれます」
鈴音は言った。その一言に年配の女性店員は、まあ、と声を漏らしたが、すぐに営業スマイルに戻った。