幻想
よくぞ聞いてくれました、と言わんばかりの中年女性店員お笑みが合わせ鏡のように鈴音にまで反射してきた。
「過去にね」と中年女性店員が焦らす。「他人のものを奪ってる、いや、所持している、いや、保有している、っていう満足感って体験しないとわからないと思うの。それでいて、もしバレたりしたら、こっちにまで火種が飛び火してくるじゃない。バレないようにコソコソと付き合う、スリルと刺激。ああ、あなたの汚れなき可愛さを見ていると、おばさん、もう一度恋したくなってくる」
これが中年女性の実態だ。過去回帰し、かつての自分はこうだった、と吹聴と意見を押しつけてくる。ああ、でも、中年女性店員の言うことはわからなくもない。なぜなら、鈴音は絶賛不倫体験中だからである。たしかに、今までになく刺激があり、振り向く二歩手前まで来てる。心を人に許すというのはどんな感じだろう、これが彼女にとって謎であり、実感が湧かないものである。
「過去にね」と中年女性店員が焦らす。「他人のものを奪ってる、いや、所持している、いや、保有している、っていう満足感って体験しないとわからないと思うの。それでいて、もしバレたりしたら、こっちにまで火種が飛び火してくるじゃない。バレないようにコソコソと付き合う、スリルと刺激。ああ、あなたの汚れなき可愛さを見ていると、おばさん、もう一度恋したくなってくる」
これが中年女性の実態だ。過去回帰し、かつての自分はこうだった、と吹聴と意見を押しつけてくる。ああ、でも、中年女性店員の言うことはわからなくもない。なぜなら、鈴音は絶賛不倫体験中だからである。たしかに、今までになく刺激があり、振り向く二歩手前まで来てる。心を人に許すというのはどんな感じだろう、これが彼女にとって謎であり、実感が湧かないものである。