幻想
 なぜ、瞬時に胡桃がそう判断したかというと、今まで付き合った男がナルシスト的傾向のある人物ばかりだったからだ。本物のナルシストというのは男女の恋仲に陥り、肉体関係を数十回重ね合わせ、男の自尊心を満足させた後に、深海から浮上してくる。
 そう、女性に対して自信を持てなかった男が、妙な自信をつけ、こいつは俺のことは何でも言うことを聞くだろう、という半ば達観した妙な勘違いが言葉の連打を彼女に放つ。 それは鬱陶しくもあり、不快だ。
 俺ってすごくない?は決まり文句。
 夕食前後の本日の自慢話。
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