幻想
 頼りない印象がなければ、胡桃にとって彼は、ザ・タイプ。
 でも、男には頼りたい。だって、自分が頼りないから。
「座席番号はどうなってます?」
 男を仔細に眺めすぎ、気まずい間があいていたので、そんな質問。
「A2です」
 男は歯切れよく断言した。
「それなら、私の隣ですよ」
「だと思ったんです」
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