水底に囁く。
(中継地点……?)

「そう。あちらとこちらを繋ぐ場所。

……わたしは、もうずっと昔から、ここの番人をしているわ。

永遠に、あちらにもこちらにも属さず、

永遠に、この宮殿に縛りつけられる」

そう言うと、彼女はひらりと身を翻して、流れのない海の水をかき分けて泳ぎだした。

ひらひらと尾びれをはためかせて、宮殿の周りを舞う。

ひらり、ふわり。

なびく髪の間から、泡がひとつ、ふたつ、立ちのぼる。
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