水底に囁く。
アラベスク模様の扉が、床のカーペットとともに、ずっとずっと先まで続いている。

建物の中に入ったはずなのに、まるで果てなどないかのように、延々と。

あとはただ一面に、純粋な闇が広がっている。

(この扉はなに?)

ぼくは、人魚に訊いた。

「ふふ、びっくりした?

この扉はね、一つ一つが、あちらの世界につながっているの」

(あちらの世界……?)
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