磁石な関係
「オイっ‼︎‼︎そこで何している‼︎」
シンとした廊下に響いたのは、松山の怒鳴り声。
「ま…つ、やまっ…」
「…金子か⁈」
「…チッ」
舌打ちの少し後に解放された首は、いつもよりも熱く感じる。
駆け寄ってきた松山に肩を抱かれて、呼吸を整えた。
「大丈夫か⁈おい金子‼︎」
「…ゲホッ……ハァ…デケぇ声だすなよ…頭に響く」
クワンと揺れる頭痛は、頭を強く打った証拠。
「…いってぇ……」
「…ハッ。その程度でよくファーストなんか務まるな。身体の弱さはベンチ以下だろ」
「おい。お前黙って聞いてれば…」
松山が俺を置いて立ち上がる。
いつもの松山とは纏う雰囲気が変わって怖かったのも本音。
でもー、
「T.Aのキャプテンさんか?試合はじまっちまーぜ」
「………畜生…っ‼︎」
時計は30分を指す3分前。
「じゃーな。またゲームで」
手をヒラヒラさせて生田目はマウンドへ向かった。