おとななこども
悲鳴をあげている足を隠しながら、あたしはベースに立った。

大丈夫、大丈夫。

呪文のように何度も自分に言い聞かせて、相手クラスのピッチャーの様子をうかがう。

ピッチャーがボールを投げた。

あたしはバットを振った。

カキーン!

バットにボールが当たった。

ボールは弧を描いて遠くへ飛んで行く。

その間にあたしは一塁へ向かって走る。

足はまだ悲鳴をあげている。

だけど今は気にしている場合…ではないと言いたい。
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