おとななこども
「代償はまだ払い終わってないですからね?」

会長はそう言ってニヤッと笑った。

おお、そんな顔もできるのか。

関心したように見ているあたしに、
「僕にこれ以上心配をかけさせないでください」

会長が言った。

「じゃあ、保健室の先生呼んできます」

そう言って会長は保健室を後にした。

「クッソー…」

呟いて頬に手を当てたら、熱かった。

「代償って何よ、代償って」

ただ自分の欲を満たしただけじゃんか…!

そのうえ、
「心配って何だ、心配って」

って言うか、熱があがってるあたしの心配をしろ。

心の中で毒づいた後、深呼吸をするように息を吐いた。
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