おとななこども
自分の手が、包まれた。

チラリとその手に視線を落とすと、あたしの手のうえに会長の手が重なっていた。

何?

会長に視線を向けると、
「――ッ…!」

驚いて、声が出そうになった。

何故なら、会長の端正な顔が目の前にあったからだ。

スクリーンでは、旅人が主人公の方に振り向いて、走って主人公の胸へと飛び込んで行く。

2人は見つめあって、微笑みあう。

そして…お互いの唇が、ゆっくりと重なった。

同時に、会長が目を閉じる。

あたしもどうしてかよくわからないけど、会長のマネをするように目を閉じた。

あたしの唇が、会長の唇と重なった。
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