おとななこども
映画館を出ても、あたしの手は会長に繋がれたままだった。

お互い、言葉を交わしていない。

何で、何にも言わないんだろう?

あたしの心臓は、さっきからドキドキとうるさい。

会長にキスされて、あたしばっかりドキドキしてて何だか恥ずかしい。

キスされた時に取れてしまったグロスが、さらにあたしのドキドキをかき立てた。

ふと視線を向けると、
「あ」

あたしは声をあげた。

「どうかしました?」

その声に気づいたと言うように、会長が話しかけた。

あたしの視線の先にはクレープの屋台があった。

屋台の前に置いてあるメニュー表が置いてあった。
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