おとななこども
会長があたしの視線に気づいた。

「よろしかったら…」

そう言って自分のクレープを差し出そうとする会長に、
「自分のがありますからお断りします」

あたしはクレープをかじった。

うん、美味しいね。

モソモソとクレープを食べているあたしに、
「クレープは、たまに食べると美味しいですね」

会長が話しかけてきた。

「そうですね」

それに答えて、クレープをモソモソ。

「だけど、この世で1番美味しいものを僕は知っているんですよ」

会長が言った。

「そうですか」

会長の家はお金持ちだもんね。

子供の頃から美味しいものを食べてきた会長からして見れば、クレープは物足りないのかも知れない。
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