おとななこども
「よ、欲張りって…」

会長が欲張りな性格だったなんて、あたしは知らない。

顔もいい、頭もいい、顔もいい、気品もよくて、成績優秀で運動神経もよくて、おまけに家は華道の家元で。

紳士で、妹しか見てないって言ってるシスコンだけど誰に対しても優しくて…だけどあたしの前ではデレ甘で。

「欲張りな僕は嫌いですか?」

会長は呟くようにあたしに言った後、クレープをかじったのだった。

言われたあたしはクレープをかじることができなくて、フリーズしていた。

自分の気持ちが、信じられなかった。

あたし、会長のことを知りたいって思ってる。

もっと、もっと会長のことを深く知りたいって思ってる。

まさかあたし、会長のことを好きになった?

…そんな訳ないじゃない。

だけど、気づいてしまったその気持ちを否定できない自分がいた。
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