おとななこども
委員長――と言うよりも、クラスのみんなが言ってることは大正解だった。

あのデート以来、あたしは会長を避けるようになった。

休み時間も昼休みも委員長やマリエと一緒に行動したり、用もないのにトイレや図書室に顔を出したりして、会長から逃げている。

生徒会の集まりも、終わったらさっさと帰るのが定番と化してきた。

何故なら…会長のことを好きになってしまったからだ。

あのデートで、自分の会長への気持ちに気づいてしまった。

シスコンでデレ甘で、平気でキスをしてきて…あんなヤツ、絶対に好きにならないって思ってたのに。

なのに、自分が会長に抱いている気持ちをあのデートで知ってしまった。

それを認めたくなくて、ただひたすら会長から逃げ回って、会長を避けていた。

「って言うか、このクラスもずいぶんヒマなんだね」

嫌味っぽく言ったあたしに、
「まあ、自分よりも人の恋の行方がおもしろい的なね?」

委員長はニーッと歯を見せて笑いながら返したのだった。
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