おとななこども
幸いなのかどうかわからないけど、会長はあたしたちに気づいていなかった。

「会長、1人で観光するのかな?」

そう言った委員長に、
「誰か待ってるんじゃない?

一緒に行く人がトイレに行ってて、その人が戻るまで待ってるとか」

あたしは返した。

「あー、それもそうか」

委員長は納得したようにうなずくと、あたしと一緒にその場を去った。

せっかくの修学旅行なのに。

あのデート以来、ずっと会長のことを避けてたのに。

自分が抱いている会長への気持ちを認めたくないから。

あたしが思っているこの気持ちを、会長に知られたくないから。

「って言うかさ、夜遅くまで調べてたの?」

地図を見ながらお好み焼きの店に向かうあたしに、
「エヘヘー」

委員長はごまかすように笑った。
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