おとななこども
「んんーっ!」

口をふさがれたまま、躰がどこかへ引き込まれた。

「やっとつかまえた」

その声に視線を向けると、口をふさいでいた手が離れた。

「――か、かいちょ…」

「黙って」

「――ッ…」

その言葉通り、唇が重なってあたしを黙らせた。

確かめるようにあたしの唇に触れた後、会長の唇が離れた。

「ちょっと、何するんですか?」

唇が離れたとたん、声を出したあたしに会長は人差し指を自分の唇の前に当てて、
「気づかれますよ」
と、言った。
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