おとななこども
だけど、会長の方がずっとキレイだと思った。

会長の端正な横顔が月光や町並みの灯りに照らされていて、何とも妖艶な雰囲気を醸し出している。

クソ、月光や灯りまで味方につけちゃって…。

あたしは心の中で毒づいた。

でも…今日1日で、思い知らされたことがある。

あたしはやっぱり…会長のことが好きなんだ。

手を繋がれただけでもドキドキして、着物やかんざしを身につけてそれを褒められただけでもドキドキして、会長が見せるデレ甘い笑みにもドキドキして…。

あたしは改めて、会長のことが好きなんだって思い知らされた。

もう、悟られたって言っても過言じゃないよね?

「――会長…」

呼んだとたん、心臓がドキッと鳴った。

ほら、呼ぶだけでもドキドキしてる…。
< 270 / 343 >

この作品をシェア

pagetop