おとななこども
フェンス越し…のはずなのに、トーゴちゃんは目立っていた。

野球部やサッカー部の男子なんて部活そっちのけでトーゴちゃんの顔を拝んでるし…。

「トーゴちゃん♪」

あたしが声をかけたら、
「お前、こう言う場合は“松田先生”だろう」
と、トーゴちゃんは呆れたと言うように返した。

「100歩譲っても“松田さん”だぞ」

「でも、トーゴちゃんはトーゴちゃんじゃないの」

そう返したあたしに、
「だから“松田先生”だっつーの」

トーゴちゃんは返した。

「で、トーゴちゃんはどうしたの?」

「お前、今の俺の話きいてたか?」

トーゴちゃんはやれやれと言うように息を吐いた。
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