おとななこども
「ほら」

トーゴちゃんがあたしの前に何かを差し出した。

「これ…」

いちご牛乳だった。

「モモコ、これ好きだっただろ?」

そう言ったトーゴちゃんに、
「…覚えていてくれたんだ」

あたしはいちご牛乳を受け取った。

「ガキの頃よく飲んでただろ?」

「うん、大好きだったからね」

最近は飲むことがなくなったけど、小さい頃は好きでよく飲んでいた。

そんなささいなことだけど、まだ覚えていてくれて嬉しい。

手の中でいちご牛乳を弄んでいるあたしに、トーゴちゃんは息を吐いた。
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