おとななこども
「駐輪場から、白鳥と背の高いモデルみたいな女が出てくるところを見たんだ」

トーゴちゃんが話を切り出した。

「…そう、なの?」

呟くように返したあたしに、トーゴちゃんはうなずいた。

「白鳥の彼女のお前には、見せたくないと思ってつい…」

トーゴちゃんは悪かったと言って、あたしに頭を下げた。

「そんな…」

いきなり謝罪をされたあたしは、どうすればいいのかわからない。

「だけど…」

そう言ってトーゴちゃんは顔をあげて、
「しょせんは、噂だ。

本当かどうかなんて限らないだろ?」

あたしに言い聞かせるように言った。

「うん、わかってる…」

あたしはうなずいて答えた。
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