おとななこども
怒ったように返した会長に、
「…断らなかったところを見ると、あたしにはそう思えます」

あたしは返した。

いや、違う。

そんなことを言いたい訳じゃない。

なのに口は、勝手に動く。

「嬉しいんですよね?

いろいろな女の子から、いろいろなチョコをもらえて」

言い過ぎた…と言っても手遅れだけど、あたしは口を閉じた。

どうしてあたしは、こんなことしか言えないのだろうか?

「桃…」

バシッ!

あたしの名前を呼んだ会長をさえぎるように、あたしは箱を会長の胸に投げつけていた。
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