おとななこども
その日の放課後。

生徒会室で僕は彼女と顔をあわせた。

「初めまして、白鳥誠也です」

ニッコリ笑ってあいさつ。

「平岡です」

それに対し、彼女は淡々と名字を言っただけだった。

彼女の前に手を差し出す。

彼女はチラリと僕の顔を見た後、手を伸ばして握手を交わした。

やった!

さわれた!

心の中でガッツポーズをした。

彼女と言葉を交わすことはなかった。

あったとしても、
「はい、わかりました」

「これ、お願いします」

これだけの言葉で済んでしまう内容だけだった。
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